栃木編
我が街の「働キング・働クイーン」
我が街の「働キング・働クイーン」とは
地域愛にあふれ、活性化の役割も担っているUターン・Iターン経験者、その名も“働キング・働クイーン”。
今回は、東京都から栃木県へIターンした元客室乗務員の武藤小百合さんが登場。 豊かな自然や魅力的な人々に囲まれながら公務員として働く彼女に、転職に踏み切った動機や、移住後に感じたメリットなどを伺いました。
「ほどよい自然の中で地に足のついた生活をしたい」
元CAが栃木県で見つけた、自分らしく時間を過ごす場所- 働クイーン
- 武藤 小百合さん
- 年齢
- 29歳
- Iターン歴
- 3年
- 職業
- 公務員(鹿沼市役所・教育委員会事務局教育総務課)
- UIターンのきっかけ
- 遊びに行ったときに、居心地のいい街だと感じたから
緑・文化・お店・人々。すべてが魅力的な鹿沼という街
栃木県の宇都宮市と日光市に隣接する「鹿沼市」は東京から100km圏内でありながら、森林が約7割を占めるほど自然豊かな土地。美しい景観と多様な農産物の恵みであふれています。
蕎麦の名産地、シウマイの街としても知られ、江戸時代から続く「鹿沼秋まつり」には多くの観光客が訪れます。 東京で生まれ育った武藤さんは7年前、鹿沼に就職した同級生に会いに行ったことをきっかけに、この地を知ったのだそう。
「その後も何度も遊びに行き、鹿沼の面白い人々や文化、素敵なお店に触れるなかで、移住を意識するようになりました。当時はANAの客室乗務員としてシフト制で各地を転々としていたので、『地に足のついた規則正しい生活』に対するあこがれがあったのがひとつ。
また、鹿沼へ行く度にほどよい自然と出会う人々からエネルギーをもらっていたので、自分にピッタリな場所だと感じたんです」と武藤さん。その想いを実行に移したのは3年前のことでした。
自分を元気づけてくれた街に、仕事で恩返しする日々
移住先で見つけたのは、公務員のお仕事。
鹿沼市役所の職員として、奨学金の貸し付け業務などを担当しているそう。
「鹿沼に遊びに来て自分が元気づけられたので、公務員になれば自分が鹿沼に恩返しできるとの想いから選んだ職場。
市民の方々から『ありがとう』と言われるのが嬉しいです」と、地域に貢献する喜びを感じている様子。たまに残業はあるものの、ほぼ毎日同じ時間帯で働けるのも「規則正しい生活をしたい」という理想にフィットしているといいます。
ちなみに自宅から市役所までは、自転車で10分程度。
「フライトの発着をする空港まで電車で1時間半かけて通っていた前職と比べ、通勤もだいぶラクになりました。通勤中は日本百名山の男体山や桜並木、川でツバメが水浴びする様子などを見ることができます。季節の変化を感じながら自転車を漕ぐのは最高ですよ」と、武藤さんは楽しげに語ります。
“移住者ウェルカム”な土地柄なので、疎外感はなし
移住先での人間関係も良好。鹿沼はもともと日光東照宮への宿場町だったため、外から訪れる人に対して温かく接してくれる地元民が多いようです。武藤さんが“鹿沼のママ”と慕うのは、レンタルサイクル店『okurabike』の鷹羽知子さん。
『okurabike』の鷹羽さんは鹿沼にハマるキッカケになったひとり
「移住前に鹿沼へ遊びに行き、鷹羽さんが主催するサイクリングツアーに参加して以来、何かとお世話になっています。移住の相談に乗ってくださったほか、鹿沼の名所や住民の方もたくさん紹介してくださいました」。東京から移住して起業した人を紹介され、移住前の武藤さんは大いに刺激を受けたといいます。
元呉服屋の建物を活用した『kanuma commons』
移住後にたびたび参加しているのは、会員制コミュニティの『kanuma commons』。
「鹿沼で何かに挑戦したい人々が集い、実現に向け協力し合う場です。私はキャンドル作りが趣味なので、それを灯した読書会を近々開催予定。そういうイベントを通じて、鹿沼の人々との繋がりの輪をさらに広げていけたらと思っています」。
山も都会も近いので、休日の過ごし方はよりどりみどり
運動が好きな武藤さん。休日の朝は自然豊かな川沿いや市内をランニングすることが多いそうです。
「景色や空気がきれいだから、走ると気持ちいいですね。公務員は土日祝日がお休みなので、オンとオフの切り替えをしっかりできるのもメリット。休日はランニングのほか、キャンドル作り、お店巡りなど、自分のやりたいことを楽しんでいます。
そんなメリハリのある生活を送るうちに心身のバランスが整ったのか、最近は寝付きも寝起きも良く、ニキビもできづらくなりました」と、自然と共存した健康的な暮らしに満足している様子。
鹿沼や日光でローカルに根付いたカフェやコミュニティを作る風間さんと
休日の午後によく行くのは、鹿沼の路地裏に佇む『Cafe'饗茶庵』。
店主の風間教司さんは起業や移住を志す若者から頼られる存在で、武藤さんにとっても恩人だそう。
「前述の鷹羽さんから紹介されて、移住前に風間さんの元へ相談に来たところ、『一度きりの人生。自分の気持ちに正直に生きるしかないよ』と優しく背中を押してくださったんです。その言葉で移住の決意が固まりました。鷹羽さんと風間さんに出会っていなかったら、私は今この街にいないはず」。そんなご縁に感謝しながら飲むコーヒーは格別だとか。
そのほか、鹿沼名物の「ニラ蕎麦」を食べに行くのも休日の楽しみのひとつ。蕎麦が美味しい店は市街地だけじゃなく山奥にも点在していて探しがいがあるそう。
「素敵なお店や人が多いのも、この街の魅力。知れば知るほど楽しい鹿沼の“沼”に、どっぷりハマりつつあります」といって、武藤さんは幸せそうに笑いました。
Uターン・Iターン転職希望者へのアドバイスと1日の流れ
実は慎重派だという武藤さん。「移住転職しようかどうか迷う人の気持ちはよくわかる」としたうえで、こんなアドバイスをしてくれました。「移住する前に何度かその土地を訪れて、誰かと交流を持つことをオススメします。そして『自分のやりたいことができるかどうか』などを相談してみましょう。親族や友人がいなくても、自分で繋がりを作っていこうという勇気さえあれば大丈夫。きっと協力者は現れるはずです」
武藤さんのスケジュール
移住後に価値観の合う男性と結婚し、一緒に暮らし始めたそう。まさに幸せ倍増といったところです。